口の機能の衰え、早めに防いで健康長寿
「口の衰え」は歯周病や歯の残存数だけではありません。口腔機能を支えている、いちばん大切なものは筋肉です。舌は筋肉のかたまりともいえ、舌圧(舌の力)や、咬合力(こうごうりょく=噛みしめる力)、滑舌(かつぜつ=しゃべる発音の巧みさ)も、年をとれば老化します。
加齢によって口腔機能が衰えることを「オーラルフレイル」(フレイルとは健康と要介護の中間地点のこと)と呼びますが、「食べこぼし」「ささいなむせ」「硬い食品を避けるようになる」「口の中が乾燥する」などがその兆候です。
しかし、硬いものを避けて柔らかいものしか食べないと、噛む筋肉が衰えていき、来年はもっと噛めなくなります。「噛む」「飲み込む」などの口腔機能は筋肉によって維持されていますから、腕や脚と同じように筋肉量が減れば口にかかわるすべての機能が衰えます。これが、全身への負の連鎖を生むのです。
口の衰えから特に硬い肉類を食べなくなると、たんぱく質量の摂取不足をおこし全身の筋肉量が減少します。筋力が衰えれば口に関わるすべての機能はさらに衰えていき……と、この悪循環が、全身の機能低下を進行させて死亡リスクを高めます。オーラルフレイルは体全体の衰えにリンクしているのです。
こうした大切な口腔機能を維持する方法として
(1)しっかり噛んで、しっかり食べ、低栄養を防ぐ。
(2)歯ごたえのある食材を意識して取り入れる
(3)かかりつけの歯医者を持ち、定期的にチェックしてもらう。
(4)継続的に運動をしたり、こまめに体を動かして筋力を保つ
などがあります。
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