17年の医療事故370件 半数近く手術が起因 見込み下回る、周知課題

 日本医療安全調査機構は15日、2017年に「患者の予期せぬ死亡事故が発生し、院内調査が必要」として届け出があったのは370件(前年比36件減)だったと発表しました。半数近くの177件が「分娩(ぶんべん)を含む手術」によるものでした。

 医療事故調査制度が始まった15年10月以降、届け出の累計は857件。機構は制度開始前、年間の届け出件数を千~2千件と見込んでいましたが、想定を大きく下回っており、「制度がまだ定着していない。今後も、医療機関への研修などで周知を続けていきたい」としています。

 患者死亡から届け出までの日数は平均で57・2日で、前年の36・2日から20日以上延びました。最長は657日で、医療機関側が「予期せぬ死亡」に該当するかの判断に苦慮している状況もうかがえました。

 事故につながった医療行為の内訳を見ると、最多の手術に続き、「処置」(44件)、「輸血を含む投薬・注射」(37件)となりました。診療科別では外科(56件)、内科(46件)、整形外科(36件)の順でした。

 都道府県別では東京の36件が最多で、北海道と愛知がともに24件、神奈川が23件。死亡した患者のうち60代以上が282件に上りました。

 昨年1年間に院内調査を終えて結果が報告されたのは321件。これまで届け出があった857件のうち、6割を超える547件が既に調査が終わっています。

 院内調査の結果が不服だった場合は、遺族や医療機関が機構に再調査を依頼することができます。17年に機構が調査に乗り出したケースは39件で、32件は遺族の依頼によるものでした。

 ※医療事故調査制度

 診療や治療に関連した患者の予期せぬ死亡や死産が起きた場合、第三者機関に指定された日本医療安全調査機構への届け出や院内調査、遺族に対する調査結果の報告を義務付ける制度。全国18万カ所の医療機関や助産所などが対象となります。機構は報告を基に事故が多い症例については再発防止策を検討しています。

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