血液で遅延型食物アレルギー検査「推奨しない」 学会が注意喚起
わずかな血液を調べるだけで「遅延型の食物アレルギー」の原因食品がわかるとうたう、「IgG抗体検査」について日本小児アレルギー学会は、「推奨しない」とする見解をまとめ、学会サイトで注意喚起しました。
この検査は、指先から少量の血液を採取し、免疫機能の指標である「IgG抗体」というたんぱく質を測るものです。
米や昆布、牛肉など96品目についてアレルギー反応の度合いがわかるとする米国製の検査キットを、日本の代理店が約2万9千円で販売しています。代理店によると、数百か所程度の医療機関で導入されているとのことです。
通常のアレルギー検査では、血液で別の抗体を調べますが、遅延型アレルギーは通常とは異なり、症状がすぐにあらわれないとされています。
しかしながら、「IgG抗体」は、食物アレルギーのない人の血中にもあり、また、遅延型アレルギーの仕組みや原因ははっきりわかっていません。
「IgG抗体検査」を導入しているクリニックなどのなかには、疲労や不安、体重増加など様々な不調が遅延型アレルギーと関係しているなどとして、特定の食品を食べないよう指導するところや、高額なサプリメントの購入を勧めるといったところもあるとのこと。
欧米のアレルギー関連の学会や団体は「IgG抗体」による検査の有効性を公式に否定し、注意を呼びかけています。
この検査によって、原因ではない食品まで食べないよう指導され、低栄養などの健康被害に繋がる恐れも懸念されています。
日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員長の海老沢医師は、「抗体検査だけでなく、実際に食品を食べてアレルギー反応を確認するのが、治療指針に基づく診断法だ。むやみに食事制限をすると、低栄養や発育不良などを招く恐れがある」としています。
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