心停止のエピネフリン、予後悪化増【米国心臓病学会】 ACCが脳障害悪化の可能性を指摘

米国心臓病学会(ACC)は12月1日、心停止を起こした患者にエピネフリンを投与した場合、心臓が再始動しても全死亡率が高まったり、脳障害が悪化する危険があることを示した研究を紹介しています。

この研究は同日付でJournal of the American College of Cardiology誌に掲載。

同研究チームは、院外心停止後に救命され、自己心拍再開(ROSC)後にパリの主要病院に搬送された1500人以上のカルテを分析しました。(研究期間:12年、エピネフリン投与患者75%)主要評価項目は、退院時の脳機能障害が中等度以下という条件の達成。

その結果、これを満たした患者は、エピネフリン投与患者では19%だったのに対し、エピネフリン非投与患者では63%で達成したとのことです。また、比較的高用量のエピネフリンを投与した患者の方が、低用量の患者よりも結果が不良でした。

エピネフリン非投与患者と比較し、予後不良だった割合も1㎎投与群で52%多く、5㎎以上の投与群では77%多いという結果に。

投与タイミングによる影響も認められ、救命活動の比較的遅い段階でエピネフリンを投与された群では心肺停止直後にエピネフリンを投与された群よりも死亡率が高いことも分かりました。

最新版のガイドラインでは、救命活動中は3-5分毎のエピネフリン1㎎投与が推奨されています。

今回の結果を受け、研究者は「必ずしもガイドラインの記載内容をすぐに修正する必要性を示唆するものではない」と説明。

低用量エピネフリンでも最初の数分間で十分に効果が現れる一方で、投与が遅れるとむしろ有害となったが、特定条件を満たす一定の患者には有益であったため、「エピネフリンを予後不良の絶対的要因とみなすのは早急すぎる」との認識を示しています。

その上で、エピネフリンに関する動物実験や無作為化試験において詳細研究を実施すべきであると強調しています。

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